鮭のThink and Feel !!

主に映画や小説など創作物を中心に感想を綴ります

毎日映画チャレンジを始めるにあたって

「映画は共通言語である」

これは先日、お話しさせていただいた映像業界の方からいただいた言葉だ。

様々な映画の印象的なカットや音楽、カメラワークなどはその業界の常識にして共通知識であり、それを知っていることが前提として話が進められる。

まずは手より先に目を肥やすということである。

そこで今日から毎日映画を必ず一本鑑賞し、その感想を綴ることにした。

また、基本的に各評論家の解釈を見ずに自分がその場で抱いた印象を第一に書き綴っていくので浅い知識や解釈の連発になるだろうが若造の戯言と思って聞き流してもらいたい。

個人的ナンバーワン!『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のオープニングがカッコ良すぎる理由

 

最もカッコいい映画のオープニングは何だろう?

『ミッション・インポッシブル』シリーズの導火線、『007』の狙い撃ち、etc……

映画には時としてとんでもなくハイセンスでカッコいいオープニングが存在する。

その中で一つだけ選ぶとしたならどの作品にするか。

私ならこの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を選ぶ。

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映画.comより引用

あらすじ解説(映画.comより引用)

全員が犯罪歴をもつお尋ね者たちがチームを組み、銀河滅亡の危機を阻止する戦いに巻き込まれていく姿を描いたマーベルコミックの映画化作。自らを「スター・ロード」と名乗り、いい加減な性格でプレイボーイなトレジャーハンターのピーター・クイルは、ある日、惑星モラグの廃墟で謎の球体「オーブ」を見つけ、盗み出すことに成功する。しかし、そのオーブは銀河を滅亡させるほどの力を宿したパワーストーンで、暗躍する「闇の存在」が探し求めていたものだった。オーブを狙う者たちに追われ、凶悪犯だけが収容されるという銀河一危険な収容所に入れられてしまったピーターは、そこで一緒になったロケット、グルート、ガモーラ、ドラックスと協力して脱獄。たまたま利害関係が一致しただけで信頼関係もない5人は、内輪もめを繰り返しながら逃亡を続けるが、そんな彼らに「闇の存在」の魔の手が迫る。

eiga.com

 

この作品が公開されたのは2014年。数多くあるMCUの中でも傑作と挙げられることの多いあの『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の次に公開された作品である。

それまでのMCUはアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソーのいわゆるBIG3を主軸に据え、ストーリーもヒーローの苦悩を描くヘビーなものが多かった。

というよりアメコミスーパーヒーロー映画自体がコメディリリーフこそあれど全体的には重厚な陰性のドラマが主流であった。ダークナイト三部作がその最たる例だろう。

そこに懐かしのスペースオペラと70年代ポップミュージックを引っ提げて現れた風雲児こそ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』なのだ。

 

そんな『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で一番カッコいいシーンがこのオープニングだ。

一番最初に一番カッコいいシーンがくるというのも珍しい。

いきなり最大値で殴ってくる、最初からクライマックスな映画。

それが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』なのだ。

 

まずは冒頭。10ccの『I'm Not In Love』が少年のカセットプレイヤーから流れ、病気の母と少年のやりとりが始まる。

まもなく命の火が消える母とそれを受け入れられない少年。

「手を握って」という母の最期の願いを叶えられなかった少年は深い後悔と悲しみに包まれ病院を飛び出す。

その頭上に巨大な宇宙船が現れて……というところでいつものMARVELロゴが登場。

そして時は流れて26年後。

惑星モラグに一人の男が立っていた。

今や廃墟と化した建造物に入り、メットを外すと我らがクリス・プラットのご尊顔。

そして腰に冒頭のカセットプレイヤーを付け、流れるはレッドボーンの『Come and Get Your Love』。

イントロと共にリズムを刻むクリス・プラット

そして引きの画になり、曲が始まると同時にタイトルがドーン!

GUARDIANS OF THE GALAXY』!!

 

もうこのタイトルを見た瞬間に私は思わずFoo!と叫びそうになった。

それまでの静かで重々しい雰囲気から一転してのポップミュージックはその落差も相まってこちらのテンションを一気に上げてくれる。

また『Come and Get Your Love』に入る直前。

それまで鳴っていた壮大なBGMが止み、静寂が訪れる。

この静寂からの入りで音楽的にも映像的にも静と動のメリハリがついている。

全てが70年代ミュージックを引き立たせる構成にあるこの映画らしい緩急である。

面白いとか美しいとかではなく、楽しいオープニングなのだ。

さらにこの『I'm Not In Love』からの『Come and Get Your Love』は「恋なんてしてないさ」から「こっちにきて愛をくれよ」の対比になっているがここに中学英語成績2の私なりの解釈を加えてみよう。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』 に古き良きスペースオペラを復刻させるという確固たる意思があったことは間違いない。

ハン・ソロとマーティ・マクフライをミックスさせたと言われるスター・ロードことピーター・クイルやチューバッカを思わせるグルートなどのキャラ造形からもそれは明らかだ。

それを踏まえた上で、オープニング前のピーターが目の前の廃墟を謎ガジェットでスキャンするシーンを見てみよう。

スキャンによって立体映像で映し出されるのは活気あるかつての街並みだ。

ここはかつて大いに繁栄し、そして滅びた地だということがここで明言される。

これは推測だが、このかつて繁栄し今は滅びた廃墟は70年代スペースオペラのメタファーなのではないだろうか。

昔、誰もが夢中になっていた煌びやかな宇宙の世界は映像技術の進歩とともにリアル寄りの暗い宇宙へと置き換わり、今は誰もが見向きしない。

まさに冒頭のミュージックが示す通り「I'm Not In Love(恋なんてしてないさ)」である。

そこで高らかに鳴り響く『Come and Get Your Love』は私たち観客にこう問いかけているように思えるのだ。

「あんなに恋焦がれた宇宙だろ?もう一度戻ってこいよ。こっちにきて愛をくれよ。」

馬鹿馬鹿しくても、嘘くさくても、かつて愛した古き良きスペースオペラをもう一度皆で楽しもう。もう一度愛そう。

そんなメッセージが聞こえてくる気がする。

ノスタルジックで古臭くて、だからこそ今は新鮮でカッコいい。

スタイリッシュなオープニングは数あれど、ここまで楽しく、カッコいいエンターテインメントなオープニングを私は他に知らない。

だから私はこのオープニングが大好きなのだ。

 

あなたの映画はどこから?私は恐竜から。『ジュラシック・パーク』感想

「初めて見た映画はなんですか?」

こう聞かれてあなたは何の映画を思い浮かべますか?

となりのトトロ』のようなジブリ映画?

うっかり夜中に見てしまった『エイリアン』?

『ダイハード』のようなアクションかそれとも『ゴジラ』などの特撮映画かも。

何にせよ、この問いかけに答えられる人はとても幸せだと私は思います。

幼い頃の朧げな記憶にも残る新鮮で衝撃的、鮮烈な映画体験は何にも変え難い貴重な経験のはず。

というわけで今回紹介するのが私が人生最初に見た映画『ジュラシック・パーク』です。

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http://Amazon.co.jp: ジュラシック・パーク(字幕版)を観る | Prime ...

 

あらすじ

スティーブン・スピルバーグ監督がマイケル・クライトンの同名小説を実写映画化したSFパニックアクション。現代によみがえった恐竜と人間たちの戦いを、当時最先端のリアルなCG映像で描き、世界的ヒットを記録した。生物学者グラントと恋人の古代植物学者サトラーは、大富豪ハモンドコスタリカ沖の孤島に建設した施設に招待される。そこは、最新テクノロジーによってクローン再生された恐竜たちが生息する究極のテーマパークだった。グラントたちは同じく招待された数学者マルコムやハモンドの孫である2人の子どもたちと一緒に、コンピュータ制御された車に乗り込んで島内ツアーに出発。しかし思わぬトラブルが続発し、檻から解き放たれた恐竜たちが彼らに襲いかかる。出演は「ピアノ・レッスン」のサム・ニール、「ワイルド・アット・ハート」のローラ・ダーン、「ザ・フライ」のジェフ・ゴールドブラム、「大脱走」のリチャード・アッテンボロー

ジュラシック・パーク : 作品情報 - 映画.comより抜粋)

 

スティーヴン・スピルバーグ監督が1993年に制作、公開したこの映画は当時の歴代興行収入世界一を記録した同監督の代表作です。

私がこの映画を見るきっかけになったのが、当時放映されていたスーパー戦隊シリーズ第27作目『爆竜戦隊アバレンジャー』。

爆竜と呼ばれるロボットのような鎧を纏った恐竜とヒーローたちの勇姿に当時の私は大興奮で毎日のようにDVDを見ていました。

そのあまりの熱中ぶりに母が見せてくれたのが『ジュラシック・パーク』。

アニマトロニクスとCGにより描き出される恐竜たちに私は魅了され恐竜にのめり込んだ私は、毎年のように恐竜博へ行き、一切英語がわからないのに海外の権威の公演を聞きに行ったりしていました。

私にとっての原点でありマスターピース、それが『ジュラシック・パーク』なのです。

 今回はそんな『ジュラシック・パーク』を作品単体としての評価以外にスピルバーグ監督作品としての側面から考え、想い、感じたことを語っていこうと思います。

もちろんネタバレ全開ですのでもし万が一まだ見たことがないという方は視聴をお勧めします。

ではいってみましょう!

 

1.結局『ジュラシック・パーク』は何映画なのか?

さてこの『ジュラシック・パーク』、ジャンル分けするなら何映画になるのでしょう。

DNAやクローン技術の暴走を描くからSF?

中盤終盤の肉食恐竜たちの恐ろしさが際立つからパニックホラー?

それともアドベンチャー?エンターテインメント?

私が思うに、この映画のジャンルをあえていうとすればそれは『恐竜映画』です。

SFでもアドベンチャーでもなく『恐竜映画』です。(大事なことなので二回言いました。)

なぜならこの『ジュラシック・パーク』という映画が脚本や人物描写よりも何よりも『恐竜』をいかに魅力的に描くかに力を注いだ作品だからです。

物語の視点、主人公はサム・ニール演じるアラン・グラント博士ですが物語を動かし、観客を魅了する主役は恐竜たちなのです。

それは本編からカットされたシーンからも読み取ることができます。

カットシーンは複数ありますが、特に顕著なのがグラント博士一行が島に到着し車で移動している途中のシーン。

本編にはエリーが絶滅したはずの植物を手に持っているシーンがありますがその直前に本来は植物の葉を摘み取る場面がありました。

しかしその場面はカットされ、結果としていつの間に手にした葉っぱを持つエリーという若干飛び気味のシーンになっています。

なぜこの数分にも満たない些細なシーンはカットされてしまったのでしょうか。

それは私が思うにそれは来たるブラキオサウルスのシーンへ繋げるため、テンポを重視したためです。

 

映画のここまでの流れは以下の通り。

①島での搬入作業。ケージの中で暴れる何かに作業員が襲われる。

(ここでは恐竜の姿を見せず、正体不明の恐怖を強調する)

 ②琥珀採掘場での弁護士と責任者の会話。

(ここで復元方法とグラント博士らの島訪問への前振りを行う)

 ③グラント博士とエリーのところへハモンド氏が来訪。

(主人公らキャラクターの説明、専門家の意見が欲しいという遠回しの言い方で恐竜の存在を匂わせるも明言はしない)

 ④島へ向かう博士一行。マルコム博士登場。

(キャラクター説明その2。島の雄大な自然と劇伴で期待を煽る)

 

ここで注目したいのはここまで恐竜は姿を見せず、その存在を匂わせるだけに留めることで観客に「早く恐竜が見たい!」と焦らしていることです。

恐らくこの焦らしが最高潮に溜まっているタイミングでさらにワンクッションを入れてしまうと映画としてのテンポを損なうと考えたのでしょう。

 そこで植物を摘むシーンをカットし、そのままブラキオサウルス登場の流れへスムーズに持っていったというわけです。

スピルバーグ監督特有の画面外の何かに驚くシーンの後、満を辞して現れるブラキオサウルスはこれまでの焦らし、タメも相まって思わず感動してしまうシーンです。

またツアー序盤ではディロフォサウルスやティラノサウルスヴェロキラプトルといった肉食恐竜は名前は出てきますが姿は見せません。

その演出は後半、それまで未明だった存在の出現によるさらなる恐怖を与えると同時に、この恐竜たちはどんな姿なのだろうと観客に期待や好奇心をもたせる役割も持っています。

それ故に、後半牙を剥く肉食恐竜たちもただの敵、悪役としてではなく恐ろしくも魅力的な存在である恐竜として観客の前に現れます。

これが原作小説との最大の違いで、原作での恐竜たちはあくまで物語を進めるための舞台道具として描かれています。

しかし、この映画ではアニマトロニクスやCGを用いて徹底的に恐竜たちを魅力的に描くことに終始しています。

ホラーよりアドベンチャーよりSFより、何よりもこの映画の中心にあるのは『恐竜』なのです。

故にこの映画は『恐竜映画』であり、その魅力あふれる姿と彼らへの愛が世界中で評価される要因となったのでしょう。

何より私のような恐竜キッズを全国に生み出しただけで5億点満点です!

 

2.スピルバーグ監督の集大成『ジュラシック・パーク

スティーヴン・スピルバーグ監督といえばかの有名なサメ映画の金字塔『ジョーズ』に始まり、『E.T.』、『未知との遭遇』など映画界における一時代を築いた巨匠です。

そんなスピルバーグ監督の初期作品の集大成がこの『ジュラシック・パーク』なのです。

初期の作品群に見られる共通点として、私は『未知』へのアプローチがあると思います。

 例えば『激突!』と『ジョーズ』では共に物語の恐怖の対象の姿をあえてハッキリと見せず、一体何になぜ襲われているのかわからない『未知の恐怖』を描き出しています。

 この『見えない恐怖』の演出はもちろん『ジュラシック・パーク』でも用いられており、中でも印象的なのが最初にティラノサウルスが登場する場面です。

 

それは夜の車内でのシーン。

まずコップに入れた水が一定の間隔で振動します。

その振動と共に大きくなるズーンという音。

それが足音だと理解するやいなやカメラが切り替わり、先ほどまでいた生き餌のヤギがいなくなっています。

「ヤギはどこ?」と少女が呟いた瞬間、車の屋根に血まみれのヤギの足が落下。

フェンスを引っ掻く巨大な爪が見え、カメラが上へと徐々に移動し、雷に照らされてヤギを咀嚼するティラノサウルスがドーン!と登場。

 この一連の流れがまさにそれまでの作品でスピルバーグ監督が確立させた恐怖演出であり、見ているこちらまでついつい息を潜めてしまうこのシーンは是非一度見ていただきたいです。

 (字幕無しですがこちらで見ることができます。)

http://ジュラシックパーク “T-レックス”登場シーン - ニコニコ動画

 

また未知が生み出すのは何も恐怖だけではありません。

未知への好奇心からくる高揚、興奮のロマンもまたスピルバーグ監督が描いてきたものです。

例えば『E.T.』や『未知との遭遇』では宇宙人という完全に未知の存在とのコンタクトが描かれています。

無論、作中に宇宙人を恐れたり敵視する人間は登場しますが、焦点はあくまでも宇宙人とのコンタクトによる友情でありポジティブな物語です。

 そしてこの『未知』への恐怖と好奇心が見事な調和を見せた集大成こそ『ジュラシック・パーク』なのです。

ブラキオサウルストリケラトプスなどの草食恐竜をアニマトロニクスやCGで雄大に見せる一方で恐怖の対象となるティラノサウルスヴェロキラプトルはあえて中盤まで姿を見せずに不穏さを強調する。

これらの演出によって恐竜の持つ生物としての魅力と恐怖の二面性を描き出しているのです。

それは恐竜というかつて確かにこの地球上に存在していた、それでいて謎の多い存在へのスピルバーグ監督なりのアプローチであり、彼らへの敬意なのかもしれません。

 

 

3.結論。なぜ『ジュラシック・パーク』は面白いのか。

長くなってきましたのでここで 結論をまとめたいと思います。

ジュラシック・パーク』が世界中で大ヒットし、今日まで愛されている一番の理由。

それはこの作品が恐竜たちを魅力的に観客に見せることを第一に作られているからです。

この映画の全ての演出、脚本は優れたアニマトロニクスとCGによって蘇った恐竜たちを描き出すことに帰結しており、その熱意と愛が世界中の人々の胸を打ったのではないでしょうか。

また監督作品としての文脈から見てもそれまでの作品で培ってきた演出、技術の集大成であり面白くないはずがないのです。

培った技術の集大成に溢れんばかりの愛を注ぎ込んだ珠玉の一作。

それがこの『ジュラシック・パーク』なのです。

 

鮭のThink and Feel !! 開設にあたって

初めまして。渓流鮭と申します。
当ブログ最初の本記事を読んでいただき誠にありがとうございます。

このブログでは主に映画、ドラマ、小説、ゲームなどの創作物や多種多様なエンターテインメントの感想を自由に綴っていきます。
感想ブログなのでThink (想い)とFeel(感じたこと)なわけです。
直訳ですね。

昨今では評論家と呼ばれる方々の活躍が目覚ましく、ネットやテレビにそういった人たちの意見が溢れかえっています。
それらを読んだり見たりするうちに、次第に自分の感想が他人の評論に塗りつぶされていくような感覚に襲われませんか?
それに反抗すべく、不恰好でも間違っていても自分なりの感想を記録しようと思い、このブログ名にさせていただきました。

自分で想い、感じたことを正直に。これが当ブログのモットーです。

基本的に最新作の最速感想!とかではなく単に自分が書きたいと思ったネタを書いていきますので鮮度は低めです。
では、末長くよろしくお願いします。