鮭のThink and Feel !!

主に映画や小説など創作物を中心に感想を綴ります

個人的ナンバーワン!『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のオープニングがカッコ良すぎる理由

 

最もカッコいい映画のオープニングは何だろう?

『ミッション・インポッシブル』シリーズの導火線、『007』の狙い撃ち、etc……

映画には時としてとんでもなくハイセンスでカッコいいオープニングが存在する。

その中で一つだけ選ぶとしたならどの作品にするか。

私ならこの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を選ぶ。

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映画.comより引用

あらすじ解説(映画.comより引用)

全員が犯罪歴をもつお尋ね者たちがチームを組み、銀河滅亡の危機を阻止する戦いに巻き込まれていく姿を描いたマーベルコミックの映画化作。自らを「スター・ロード」と名乗り、いい加減な性格でプレイボーイなトレジャーハンターのピーター・クイルは、ある日、惑星モラグの廃墟で謎の球体「オーブ」を見つけ、盗み出すことに成功する。しかし、そのオーブは銀河を滅亡させるほどの力を宿したパワーストーンで、暗躍する「闇の存在」が探し求めていたものだった。オーブを狙う者たちに追われ、凶悪犯だけが収容されるという銀河一危険な収容所に入れられてしまったピーターは、そこで一緒になったロケット、グルート、ガモーラ、ドラックスと協力して脱獄。たまたま利害関係が一致しただけで信頼関係もない5人は、内輪もめを繰り返しながら逃亡を続けるが、そんな彼らに「闇の存在」の魔の手が迫る。

eiga.com

 

この作品が公開されたのは2014年。数多くあるMCUの中でも傑作と挙げられることの多いあの『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の次に公開された作品である。

それまでのMCUはアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソーのいわゆるBIG3を主軸に据え、ストーリーもヒーローの苦悩を描くヘビーなものが多かった。

というよりアメコミスーパーヒーロー映画自体がコメディリリーフこそあれど全体的には重厚な陰性のドラマが主流であった。ダークナイト三部作がその最たる例だろう。

そこに懐かしのスペースオペラと70年代ポップミュージックを引っ提げて現れた風雲児こそ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』なのだ。

 

そんな『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で一番カッコいいシーンがこのオープニングだ。

一番最初に一番カッコいいシーンがくるというのも珍しい。

いきなり最大値で殴ってくる、最初からクライマックスな映画。

それが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』なのだ。

 

まずは冒頭。10ccの『I'm Not In Love』が少年のカセットプレイヤーから流れ、病気の母と少年のやりとりが始まる。

まもなく命の火が消える母とそれを受け入れられない少年。

「手を握って」という母の最期の願いを叶えられなかった少年は深い後悔と悲しみに包まれ病院を飛び出す。

その頭上に巨大な宇宙船が現れて……というところでいつものMARVELロゴが登場。

そして時は流れて26年後。

惑星モラグに一人の男が立っていた。

今や廃墟と化した建造物に入り、メットを外すと我らがクリス・プラットのご尊顔。

そして腰に冒頭のカセットプレイヤーを付け、流れるはレッドボーンの『Come and Get Your Love』。

イントロと共にリズムを刻むクリス・プラット

そして引きの画になり、曲が始まると同時にタイトルがドーン!

GUARDIANS OF THE GALAXY』!!

 

もうこのタイトルを見た瞬間に私は思わずFoo!と叫びそうになった。

それまでの静かで重々しい雰囲気から一転してのポップミュージックはその落差も相まってこちらのテンションを一気に上げてくれる。

また『Come and Get Your Love』に入る直前。

それまで鳴っていた壮大なBGMが止み、静寂が訪れる。

この静寂からの入りで音楽的にも映像的にも静と動のメリハリがついている。

全てが70年代ミュージックを引き立たせる構成にあるこの映画らしい緩急である。

面白いとか美しいとかではなく、楽しいオープニングなのだ。

さらにこの『I'm Not In Love』からの『Come and Get Your Love』は「恋なんてしてないさ」から「こっちにきて愛をくれよ」の対比になっているがここに中学英語成績2の私なりの解釈を加えてみよう。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』 に古き良きスペースオペラを復刻させるという確固たる意思があったことは間違いない。

ハン・ソロとマーティ・マクフライをミックスさせたと言われるスター・ロードことピーター・クイルやチューバッカを思わせるグルートなどのキャラ造形からもそれは明らかだ。

それを踏まえた上で、オープニング前のピーターが目の前の廃墟を謎ガジェットでスキャンするシーンを見てみよう。

スキャンによって立体映像で映し出されるのは活気あるかつての街並みだ。

ここはかつて大いに繁栄し、そして滅びた地だということがここで明言される。

これは推測だが、このかつて繁栄し今は滅びた廃墟は70年代スペースオペラのメタファーなのではないだろうか。

昔、誰もが夢中になっていた煌びやかな宇宙の世界は映像技術の進歩とともにリアル寄りの暗い宇宙へと置き換わり、今は誰もが見向きしない。

まさに冒頭のミュージックが示す通り「I'm Not In Love(恋なんてしてないさ)」である。

そこで高らかに鳴り響く『Come and Get Your Love』は私たち観客にこう問いかけているように思えるのだ。

「あんなに恋焦がれた宇宙だろ?もう一度戻ってこいよ。こっちにきて愛をくれよ。」

馬鹿馬鹿しくても、嘘くさくても、かつて愛した古き良きスペースオペラをもう一度皆で楽しもう。もう一度愛そう。

そんなメッセージが聞こえてくる気がする。

ノスタルジックで古臭くて、だからこそ今は新鮮でカッコいい。

スタイリッシュなオープニングは数あれど、ここまで楽しく、カッコいいエンターテインメントなオープニングを私は他に知らない。

だから私はこのオープニングが大好きなのだ。